#057

下浜の家

猫と平屋と私

Completion-May,2021

高台のゆったりとした平屋

今回ご覧いただくのはとても人気の高い平屋です。
しかも切妻屋根のオーソドックスな外観デザインが魅力の建物です。屋根に覆われた縁側のようなデッキも印象的です。
どこか米軍住宅を思わせるデザインですが、更に上品なデザインになるように細かな点に配慮してあります。こちらは大人だけの家ですので、間取りも最小限なのですが、実は大切なご家族である猫も一緒に暮らす家です。正直、猫に対する配慮を施すのはBROOKとしても初めての試みです。
お施主様に色々とアドバイスを頂きながら、猫との暮らしを快適にしつつBROOKらしさも損なわずというデザインコンセプトで仕上げました。

土地は高台の静かな古い住宅地ですが、ゆったりとした広い敷地ですから大きくなりがちな平屋の設計でも無理なく配置することができました。外構もほぼ同時に進めたことで全体の完成度は高いものになりました。

愛猫と一緒に快適に暮らす工夫

こちらで特筆すべきは「猫」のための仕掛けです。通常BROOKでは家自体を単一目的のために作り込みすぎることには慎重になりますが、お施主様の情熱次第ではときに少しばかりカスタマイズさせていただくこともあります。
今までもバイク専用ガレージや本気のサーファーのためのガレージ、スニーカコレクターのための玄関土間、古着好きのための服を飾れる収納コーナーなど、思い返すと色々と工夫してきました。こちらの建物もそんな工夫をいつものBROOKに少しだけ散りばめてあります。

玄関を入ると奥には土間続きのクローゼットとリビングへの上がり框があります。この框のところに手作りのワンオフのガラス戸を設置しています。これはお出かけの際や帰宅時、ドアを開けた瞬間の猫の脱走を防ぐための措置です。
せっかくなので少しだけレトロなデザインを施したシンプルなガラス戸を作成いたしました。そして玄関の横には猫専用シンクとトイレを設置。こちらはトイレの臭いを外に出せるように専用ファンも取り付けてあります。

そして今回、お施主様が特にご希望されたのが「独立キッチン」です。調理時の匂い漏れもなくリビングとキッチンをしっかりと物理的に分離できるので実はとても良いキッチンレイアウトです。しかし今回は調理中の猫の事故を防ぐのが主な目的です。どうしても閉鎖的になりがちな独立キッチンレイアウトですから、そこはガラスを多用して視覚的な開放感は担保しつつ、猫への配慮もしっかりと。デザインも玄関のガラス戸と揃えたシンプルなものに統一させていただきました。
そして寝室の扉には猫のくぐり戸を設けましたが、これは市販品を加工して設置したものになります。ここまでが猫に対しての独特の工夫の部分ですが、独立キッチンのアイデアなどはむしろ普通の住宅でも活かせる工夫かもしれませんね。

どこにいても心地よい空間

いつもの大きく開放感のあるリビングにはこれまたおなじみの大開口サッシが気持ちの良い空間を演出してくれます。梁現しの高い天井は切妻屋根の平屋ならではの幾何学的なデザインが魅力です。
リビングの奥には個室にもなる空間をご用意させていただきました。これは普段は開け放ってリビングとの一体感を楽しみつつ、必要に応じて仕切ることができます。
お施主様も大満足のこちらの住宅でしたが、私達としても自信作と呼べる住宅になりました。末永く愛猫との暮らしも楽しんでいただければ幸いです。

今回は生涯猫を飼い続けるお施主様が、愛猫と一緒にストレスなく日々を過ごせるような配慮をさせていただきました。たとえそのようなご要望があったとしても忘れてならないのは、それでもBROOKらしさを損なわないこと。
今回も最小限の作り込みで、必要かつ十分な機能を盛り込むことができました。

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