今回ご紹介するお宅はズバリ「開かれた家」。
その開かれた家の裏にある閉じられた部分を明確に分けることでキャラクターのはっきりした使いやすい家になることが出来た一例です。
この家は1Fと2Fのコンセプトを明確に分けてあります。
従来型の家は、玄関を一歩入ると家全体がプライベートな閉じられた空間というのが一般的ですが、今回こちらの住宅では1Fを「開かれた家」とし、2Fを「閉じられた家」という明確なコンセプトで設計させて頂きました。
1F、パブリックスペース
玄関を開けると、そこに広がるリビングは仕切りのない大空間にアイランド型のキッチン。そして端っこにトイレ。それだけしかありません。
そして1Fはパブリックスペースと捉え、開放感溢れる大きなサッシでガラス張りの空間としました。
1Fはいつ見られても良い、あるいはいつ来客があっても良い、ある程度の緊張感を持って暮らすことを前提にした設計、つまり「開かれた家」です。
2F、プライベートスペース
階段を上がった先には、1Fと対照的に完全なプライベートスペース。いわば「閉じられた」空間があります。
こちらは家族だけのプライベートなフリースペース、寝室、バスルーム、そしてランドリールームも総て2Fに集約しました。つまり、生活感が出やすい要素の大部分を2Fに「隠す」ことで1Fのスッキリした状態を保ちやすくする設計です。
だから2Fはある意味「閉じられた家」と言えるでしょう。
1Fと2Fの使い方を明確に分けることがこの家の根幹を形作っています。
きっぱりと性格を分けることにより、迷いのないかえって使いやすい家が完成したと思います。
どなたにもおすすめできる一般的な家のカタチでは無いかも知れませんが、共感できる方にとっては素晴らしい一邸と言えるでしょう。
こちらは個性的なキャラクターを持つ家ですが、それぞれのお客様にとってのベストポイントを探しながら打合せを進めてゆく中で得られた必然の解と言えるのです。