居住性とデザインのバランス
落ち着いた住宅街の角地をお選びいただいた若いご夫妻ですが、デザインの好みは明確。
以前設計したBROOK流サーファーズハウスがお好みとのことでした。先に設計した住宅の方は敷地も広く、建物のボリュームもそれなりにありました。
今回は敷地はそこまで広くなく、また建物もあれほど大きくなくても十分というお話でしたので、ご夫婦お二人にちょうどよい大きさで設計させていただきました。
外観上の大きなポイントとしては、2階の階高です。これを通常の2階建ての建物より低く設定することで、美しい外観が担保されます。
2階の居住性を幾分犠牲にしても、そこを守ってゆきたい旨をご理解いただきながら設計を進めさせていただきました。
住まい手が表現する余白を残した
建物としての寸止めのディテール
1階
パステルブルーの玄関ドアをあえて採用し、オリジナルが持つ空気感を拝借。決して濃すぎないけれど、テイストは表現したいとの思いからポイント使いさせていただきました。
土間玄関からつながるリビングの奥には、これまたパステルカラーのキッチン壁.
土間の色と揃えたキッチン床のタイルも良いバランスです。
外観デザインも含めてディティールでサーファーズハウスを表現するのはこの辺りまでにしておきます。
長く愛される家はなによりも「寸止め」が大切と考えます。この先のテイストはお客様ご自身でインテリアでたっぷりと表現していただきたいと存じます。
ポジティブに捉え、楽しむ
山小屋のような勾配天井
2階
2階の階高を抑えたゆえ、2階は勾配天井でまるで山小屋のような雰囲気です。
ピークの部分を上手に使って居住性も十分に確保してあります。
そして部屋の角に突き合わせた二枚の大きなフィックス窓がとても楽しい2階を演出してくれています。
このガラス窓からは花火大会が見えるとのことですので、ゆっくりとエアコンを効かせたお部屋で花火鑑賞という羨ましい立地。
もちろんそれ以外のときもこの大きなサッシは部屋の開放感に大きな役割を担ってくれます。
明確な好みをお持ちのお二人だからこそ実現した今回のサーファーズハウス。
しかしながら、キャラクターを家で表現しすぎるのは禁物と考え、あくまでも建物デザインでのテイスト表現は必要最小限に留めさせていただきました。
それは、一生住み続ける住宅で今のインテリアの好みを100%表現した場合、将来、デザインの劣化を招く恐れもありそうだと懸念するからです。
このためBROOKでは建物の過剰なデザインと作り込みを避け、テイスト部分はインテリアで表現することをおすすめしています。
これは長生きするデザインを実現するために、住宅は名脇役として振る舞うような少し控えめな立ち位置を良しとしているからに他なりません。