希少なロケーションにマッチングした趣味
秋田市東側の丘の上の分譲地の外側に、BROOKが手がけた風光明媚なエリア。そこに建つ折れ屋根が印象的な白い塗り壁の住宅です。
この分譲地はもともと小山だったものをBROOKが造成し、3区画だけBROOKのお客様に向けて限定分譲した場所です。私達がそのロケーションを気に入り、BROOKで自ら造成をはじめた経緯がありました。
ポイントはなんと言っても南側に広がる里山を臨める田園風景。平野部の多い秋田市にあって希少な高台の物件です。
今回、こちらのお宅を設計するにあたって、何よりも重視したのはやはり景観を最大限に活かすこと。
秋田市内ではもはや希少な景観を家の中でも外でも味わえるように、遊び盛りのお子様と、そして音楽とワインを嗜まれるご夫婦のためのプランニングをさせていただきました。
リビングの枠を越える空間として
1階
折れ屋根に包まれたリビングは吹き抜けと勾配天井がポイント。そこに走る大きな登り梁もアクセントになって、ダイナミックな雰囲気を醸し出しています。ダイニングに面したキッチンはワインを楽しむための一品料理にもちょうどいい感じの配置。ワインセラーも設置する予定ですので、四季折々の景色と一緒に毎日の食事がとても豊かなものになることでしょう。
そして、BROOKオリジナルの螺旋風階段の近くには欧州ブランドのシンプルな薪ストーブも設置され、役者が揃い踏みです。もはや、一般的なリビングの枠を超えて文字通りビストロかバルのような雰囲気です。
そして天気の良い日はリビングダイニングから繋がった、たっぷりした広さのウッドデッキでアウトドアリビングも楽しめます。その先に広がる田園風景をたっぷりと堪能しつつ好きなワインで過ごしたり、ハンモックでぼんやりと時間を忘れて佇んだり。
もちろん薪割りやお子様の遊び場としても最高のロケーションです。
ご主人の秘密基地も
2階
吹き抜けをたっぷり取ったことで、2Fは比較的コンパクトに。それでもホールと個室が3つ用意されています。そのうちの一つは勾配天井の秘密基地のような部屋です。ご主人がそこに篭っていろいろと楽しむようです。
広いことももちろんステキですが、このように狭い場所というのもまた反面、魅力的に感じてしまうのは私だけでしょうか。
秘密基地への入り口は、かつて足繁く通われた酒店のワインセラーの扉を再利用。思い入れのあるお品のようで、その酒屋さんが閉店した時に思い出にもらったものだそう。いつか家を建てるときには必ず活用したいと考えていたそうです。
家としての機能と、「暮らす事の豊かさ」とのバランス
このように日々の暮らしを目一杯楽しむための住宅を作るために必要なのは、近隣の状況まで含めた全体を俯瞰して見る設計です。こちらのお宅で言えばその圧倒的なロケーションをどう活かすかだったりします。
そしてもちろん、住宅である以上、現在の満足だけを追求せず、将来までも見据えた設計も大切です。こちらのお宅では、実は一階に予備室を設けて老後に備えたり、一階に水廻りを配置しつつ、それをリビングからは一切見せなかったりと、住宅の機能的な部分として押さえるポイントはしっかりと押さてあります。
それを踏まえたプランだからこそ、リビング・ダイニングについては目一杯楽しめるように思い切ったチャレンジが可能になりました。
リビングダイニングの大きさだけで考えると、決して巨大な空間とは言えませんが、借景を上手く取り入れたり、そこに大きめの吹き抜けを配置したり、リビングと同じくらいの大きさの屋根付きウッドデッキがシームレスにつながっていたりと、設計図面からは伝わりにくい開放感がそこにはしっかりと用意されているのです。
全体で80点の家を目指すよりも、むしろポイントを絞り、楽しさと実用をどうやってバランスさせるかが、BROOKの楽しい家造りにおいては重要になってくるということを改めて学ばせて頂いた今回の計画。
もちろん、そこには設計だけでなく、そこに住まうお客様がどれだけ日々の暮らしを大切に考えているのかも重要な要素になってくることは言うまでもありません。
こちらのお宅の近所を通りかかると、いつもご家族で楽しそうに過ごされているのを拝見しますが、100%、BROOKの家を堪能されている印象です。苦心して設計し、それを形にした私達としては、こんなにうれしいことはありません。
これからもBROOKの家をご家族の暮らしのパートナーとして、皆で楽しんでいただきたいものです。